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HEAD OF DRAGON

オリジナルBL小説(R18含)中心のブログです。 オリジナルは殆ど書いていませんでしたので、ボチボチ更新していきます。内容の殆どがR18になると思います。お気をつけて。

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鎖~kusari~Ⅱ

 流は今まで出会ったことの無いタイプの人間で、心の弱い人だった。
優しい気性がそうさせているのか、何時も何かに怯えているような、自信のない人で、自分の本名で呼ばれることを酷く嫌がった。
 初めて彼と出会った日、彼は僕が今にも死んでしまいそうに見えて放っておけなかったと言ったのだが、その行動は彼の人となりを知るにつれ彼にとって非常に珍しい行動だと理解した。
 そして僕はその日彼に連れられて初めて彼の部屋に行き、体を重ねた。
 どうしてそうなったのか・・・。
 今にして思えばお互いに寂しすぎたのではないかと思う。
僕は人の温もりに餓え、彼は独りに怯えていた。
 僕は性交渉を持ったことは一度もなく、ましてや同性とSEXする事など考えた事もなかった。
それなのに彼に抱き締められた時、酷く安堵し、嫌悪感など微塵も浮かんではこなかったのだ。
 「運命かもしれない」
初めて体を繋いだ後、ベッドの中でお互いに寄り添いながら彼が言った。
 『運命』
同性との性交渉に対する免罪符の様にその言葉が甘く僕の体を満たし、彼の体をも包んでいた。
 それから直ぐに僕は施設を飛び出し、高校とバイトを辞めて彼のマンションへ転がり込んだ。
 同棲生活の中で彼が人気脚本家だということを知り驚いたり、昔モデルをしていたと雑誌を見せられてまた驚いて・・・。
 同棲を始めて3ヶ月を過ぎる頃、そろそろバイトをしたいと言う僕に彼が「モデルにならかいか?」と持ちかけてきて、自分の母親似の容姿がモデルとして通用するとは思わなかったが、彼の顔を立てる為に受けたモデル事務所のオーデションに合格し、何がなんだか分からないままモデルとして働き始めた。
 モデルの世界は何処でもそうかもしれないが足の引っ張り合いや、陰湿なイジメもある。
幸い、メンズモデルは女性モデルの様にはあからさまではなく、特に女性的な顔立ちをした僕に対しては侮りもあるのか、ちょっかいを掛けてくる輩も少ない。
 それにショーモデルとしては身長が低いコトも、ライバルと見做されない理由の一つだった。
 僕の仕事の大半は雑誌のグラビアで、どちらかと言うと『中性的』なモノを求められることが多く、モデルと言っても多少異質な存在として認識されていった。
 仕事を始めて一年がたつ頃にはソコソコ人気もでて、忙しい毎日を送るようになっていたが、思えばその頃から少しずつ彼はオカシクなっていっていたのかもしれない。
 僕が仕事で遅くなると酷く怒り、打ち上げや接待で飲酒したり、他人の香水が服についていると必ず水を浴びせ、激しいSEXを求めるようになった。
 「不安なんだ」
 僕が泣くと何時もオロオロして何度も誤りながら同じ言葉を繰り返す。
それでも僕は彼から離れる事など考えられなかった。
 彼の奇行ともいえる行動が更に目立ち始めた時、僕は仕事をセーブすることを決め、真っ黒だったスケジュール帳には次第に余白が目立つようになり、そのうち殆ど無くなった。
 僕は一日の殆どを彼の傍で過ごすようになり、そうするとで彼の行動も落ち着いてきていた。
 「このままじゃ本当に引退ですよ!」
マネージャーにそう言われても僕の気持ちは動かなかった。
 「それでいい」という思いがあったからだ。
僕にとっては彼とのまどろみの様な生活が全てで、彼の傍に居ることに喜びと安寧を見出していた。
 僕らは互いに依存し合い、僕ら以外のモノから身を守るように『繭』と化したマンションの一室でお互いだけを見つめて生活することに満足していた。
 変化は数ヶ月前に突然やってきた。
 何気なくつけたTVでニュースを観ていた時の事だ、たしか海外資本のグループ企業の現代表の訃報を知らせるものだったと思う。
 「イヤダ」
 そう呟いて体を震わせ始めた彼の体を抱きしめながら、僕は彼が何にこれほど怯えているのか分からずにいた。
 それからというもの彼は何かに怯えたように一歩も外に出なくなり、僕が少しでも離れると大声を上げた。
僕は以前にもまして彼から離れなくなり、彼も僕を離そうとしなかった。
 その時僕は彼から目を離せばどこか遠くへ行ってしまうのではないかという、想像に苦しめられていたのだ。
実際、彼の精神はどんどん追い詰められているように感じていた。
 突然の変化から2ヶ月が過ぎたある日の新聞に、彼を怯えさせた企業の後継者が決まったという記事が掲載されていた。
その記事を食い入る様に見つめていた彼は、暫くの沈黙の後2ヶ月ぶりに満面の笑みを浮かべた。
 「もう大丈夫」
 その言葉通り日に日に彼の状態は良くなり、遂には僕に仕事をしてはどうかと進めるようになった。
 僕はそんな彼に安堵し、最近では殆ど入れていなかった仕事を請けることにした。
 「やっとやる気になったんですね♪」
とマネージャーが喜び、また僕のスケジュール帳は次第に黒くなっていった。
 だからその日もスタジオでのグラビア撮影やインタビューを受けて帰宅したのは深夜に近い時間だった。
 「遅くなりましたね、コウ先生に連絡入れなくて大丈夫ですか?」
 彼の奇行を知るマネージャーは心配げにそう言って僕を見た。
「何度も電話してるんだけど、出ないんだ。怒っているのカモ・・・」
ちょっと暗い気分になりながらそう言うと、マネージャーが小さな箱を助手席から持ち上げて後部座席の僕に差し出した。
 「何?」
「ケーキです。コウ先生ルミエールのケーキお好きでしたよね?新作が出てたので買っておきました。YUKARIさんはダメですけど、コウ先生に食べてもらってください。」
「僕も好きなのに」
不満そうに言うと
「太りますよ」
とすげなく却下される。
 到着したマンションの前で簡単な挨拶を交わした後、部屋に戻った自分に嘗て無いほどの後悔と悲しみが襲いかかろうとはこの時予想もしていなかった。
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テーマ:自作BL小説 - ジャンル:小説・文学

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