FC2ブログ

HEAD OF DRAGON

オリジナルBL小説(R18含)中心のブログです。 オリジナルは殆ど書いていませんでしたので、ボチボチ更新していきます。内容の殆どがR18になると思います。お気をつけて。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

鎖~kusari~Ⅰ

 ザーザーと何処からか激しい水音が聞こえていた。
居るはずの人の気配はない。
「コウ?お風呂に入ってるの?」
何気ないそぶりで声を掛けてみるが返事はない、ただ激しい水音がドアの向こうから続いていた。
 (水の音で聞こえないのかもしれない)
そう思い浴室へと続くドアを開けると、真っ暗な空間が広がっていた。
訝りながらも手探りで灯りを点し浴室を覗き込むと、其処には赤い赫い水が溢れていた、そして朱に彩られた捜し人が眠る様に水に沈んでいた。
 その瞬間僕は、自分の叫び声をまるで他人のものの様な感覚で聞いた。
それから後の事はよく覚えていない、『無我夢中』とはああいった事だと今なら言えるが、その時はどうやって水に濡れた重たい体を引き出したのか・・・、ふと気付いた時には病院の白い壁に囲まれていた。
 目覚めた自分に医師が告げる言葉がまるで理解できない外国の言葉の様に頭に入ってこない。
 ただ、愛した人がもう二度と覚める事の無い眠りについたのだと心の喪失感で理解した。

 彼と出会ったのは3年前の冬だった。
冬の冷たい雨が降る夜、自己中心的で気に入らないと直ぐに暴力を奮う父の機嫌を損ねた僕は何時ものように殴られて、外に放り出された。
 この程度のことは言わば日常茶飯事で、殴られて痛む体を引きずり近所のコンビニへ足を向けた。
 何時ものように2時間ほど時間を潰し自宅へ戻ろうとした時、目の前をけたたましいサイレンを鳴らして消防車が走り去っていった。
消防車の向かった先を見ると、空が赤く染まっていた。
 その方向には自宅があった。
”まさか”という思いが脳裏を過ぎる。
 思わず駆け出した先で見たものは、天高く燃え上がった自宅の姿。
集まり始めた野次馬を掻き分けて両親の姿を捜すが見つからない。
「父さん!母さん!!」
「紫くん!!危ないよ!!」
建物に向かって駆け出そうとする体を近所のおじさんが引きとめる。
「でも!中に父さんと母さんがっ!!」
そう叫んだとき、目の前で家が崩れ落ちた。
 悲鳴と怒号が飛び交う中、目の前の光景を信じられない思いで呆然と見ていることしかできなかった。
 その後の警察の調べで火事は過失ではなく、『父による放火』ということが判明した。
父は僕との諍いの後、酒を飲み暴れた挙句に母と言い合いになり殺害。
殺害後に我に返り、自宅に放火したのだろうと検視や現場検証によって判明。
 僕は天涯孤独になると同時に”殺人・放火犯の息子”というレッテルを貼られる事となったのだ。
 それからのことはあまり思い出したくはない。
 父母の保険金や貯金は周囲の家への弁償で殆どが無くなり、僕は僅かに残った貯金と一緒に施設に入ることになった。
 しかし、施設での同情と好奇の入り混じった視線や、高校の友人達の手のひらを返したような仕打ちと初めてのアルバイトに一ヶ月も経たないうちに疲れきっていた。
 街がクリスマスのイルミネーションに彩られる12月の初め、バイトで疲れきった体を深夜のバス停のベンチに預けて空を仰ぎ見ると、朝からどんよりと雲が垂れ込めていた空からパラパラと雨が降ってきた。
 周りには雨を凌げる様な建物も場所も無く、雨宿りをする場所を探す気力もなかった。
その時の僕の心境としては「このまま死んでもかまわない」と投げやりな感情が支配していて、次第に強くなる雨脚に濡れ鼠になりながらじっとしていることしかできなかった。
 「大丈夫?」
 柔らかい声が掛けられると同時に降り注いでいた冷たい雨が遮られる、まるで世間の冷たい視線をも遮ってくれたように感じて目を開けた。
 それが、彼『鴻流(オオトリ リュウ)』との出会いだった。
スポンサーサイト

テーマ:自作BL小説 - ジャンル:小説・文学

鎖~kusari~ | コメント:1 | トラックバック:0 |
<<鎖~kusari~プロローグ | HOME | 鎖~kusari~Ⅱ>>

この記事のコメント

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2007-09-17 Mon 01:59 | | #[ 編集]

コメントの投稿















コメント非公開の場合はチェック

この記事のトラックバック

| HOME |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。